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不妊症について検査や治療方法、治療に掛かる費用など詳しくご説明します。
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不妊治療(体外受精・胚移植)

◆体外受精・胚移植とは?

卵巣から卵子を特殊な注射針を用いて採取し、からだの外(培養器の中)で夫の精子と混ぜ合わせて受精させ、受精した受精卵をカテーテルを用いて子宮に戻すとことにより妊娠を期待する方法です。

1978年にイギリスで始められた画期的な不妊治療で,現在では世界中で広く用いられ、日本でも現在までに累積で40万人以上の児が出生しております。

体外受精は、卵管に異常がある場合、人工授精を繰り返してもなかなか妊娠しない場合、精子に異常がある場合、などの治療方法として確立したものと考えてよいかと思います。ただし、極度の精液異常の患者さんでは顕微授精が適応になります。

◆方法・手順
  1. 排卵誘発剤の(約10日間毎日)注射で複数の卵を育てます。
  2. 排卵は卵胞を超音波でモニターしながら、経膣的に針で吸引採取します。(静脈麻酔下に実施、約30分)
  3. 採取した卵胞液の中に含まれる卵を顕微鏡下で確認し、培養します。
  4. 採卵した卵と精子をシャーレの中で混ぜ、より受精しやすい環境におきます。
  5. その後、受精の状況を確認し、2日~3日後に胚移植します。
  6. 胚移植は、超音波でモニターしながら、受精卵を細いカテーテルで子宮内に移植します。
  7. 胚移植後、黄体ホルモン療法を行ないます。
  8. 採卵後、約2週間目で妊娠の判定を行ないます。


当院では、以上の過程を通院しながら実施いたします。

不妊治療(顕微授精)

◆顕微受精とは?

精子の数が極端に少ない場合や精子の運動性が悪いなどの「重症男性不妊」や一般精子検査では問題ない場合でも体外受精を行っても受精できない「受精障害」などのカップルは顕微授精が必要となります。

精子と卵とが受精する際、卵側には、「卵丘細胞」、「透明帯(卵の周りを包んでいる殻)」、「卵細胞膜」という3つのバリアーがあり、精子の状態が悪いと精子がこれらのバリアーをうまく貫通できないのです。

このような場合に行う治療法が「顕微授精」です。顕微授精は顕微鏡を用いて、卵子にバイパスを作り、精子が卵子に入りやすいようにする方法です。

★無精子症の場合は、泌尿器科医と連携して治療をおこなっています。

◆方法・手順
  1. 排卵誘発剤の注射(約10日間毎日)で複数の卵を育てます。
  2. 採卵は卵胞を超音波でモニターしながら、経腟的に針で吸引採取します。
    (静脈麻酔下で実施します、約30分)
  3. 採取した卵胞液の中に含まれる卵を顕微鏡下で確認し培養します。
  4. 直径6~7ミクロンの極細のガラス管に精子を一個だけ吸引して、採卵した卵の卵細胞質内に直接注入する方法(ICSI:イクシー:卵細胞質内精子注入法)により受精させます。
  5. その後、受精の状況を確認し2日~3日後に子宮内に胚移植します。
  6. 胚移植は超音波でモニターしながら、受精卵を細いカテーテルで子宮内に移植します。
  7. 胚移植後、黄体ホルモン療法を行います。
  8. 採卵後、約2週間目で妊娠判定を行います。

当院では、以上の過程を通院しながら実施いたします。

体外受精・胚移植のタイムスケジュール

①術前検査
当院では、体外受精を行なう前に以下の血液検査を実施しております。
貧血検査、出血傾向の検査、感染症検査(B型肝炎抗原、C型肝炎抗原)、血液型(ABO型、Rh型)、肝機能検査
これらの検査を行なう理由は、重症貧血や出血傾向があると卵子採取の際、危険を伴うこと、また、感染症があると妊娠に悪影響を及ぼすことがあるからです。
前回検査後6ヶ月以上経過した場合は、一部再検査が必要です。
②精液検査(サバイバル検査)2日間
ご主人様の精液を採取してもらい、当日と翌日の精子の状態(運動率、生存率)を調べます。精子の受精能力を確認する目的で実施しております。顕微授精が必要かどうか判定いたします。
③当院での卵巣刺激法について(アンタゴニスト法)
体外受精では移植可能な良好胚を得る確率を高めるために、排卵誘発による卵巣刺激を行い、複数個の成熟卵を採取するようにします。当院では主にアンタゴニスト法を採用しております。
月経開始後3日目頃に来院していただき、超音波で卵巣をチェックし、問題がなければ排卵誘発剤の注射を開始いたします。卵胞の平均径が18㎜以上に発育するまで連日注射をいたします(約10日間)。その間、2~3日毎に卵胞チェックをいたします。採卵する前に排卵が起こってしまうのを避けるために、卵胞径が13-14㎜まで発育した時点から排卵誘発剤とともに、GnRHアンタゴニスト製剤(当院ではガニレスト)を採卵2日前まで毎日皮下注射いたします。
④採卵日
十分に卵胞が大きくなった時点で採卵手術を行ないます。手術当日、朝8:30までにご夫婦で来院してください。採卵後は、回復室にて夕方まで安静にして頂きます。当日ご本人様は車の運転はできません。
⑤胚移植
採卵2~3日後、受精卵を確認した上で胚移植致しますので、指定された時間に来院してください。
胚移植後、約2時間安静後帰宅になります。
尚、移植しなかった余剰胚については、凍結保存できる場合もありますのであらかじめお申し出ください。
⑥黄体賦活療法
胚移植後は、黄体ホルモン剤の薬を使用致します。
⑦妊娠判定
採卵後約2週間目に、妊娠の判定を致します。

体外受精・胚移植に関する留意点・副作用

■妊娠率

日本産婦人科学会では胎嚢を認めたものを妊娠としています。2014年における全国集計では、妊娠率は採卵あたり11.6%、流産率は妊娠あたり26.3%、多胎率は出産あたり3.1%でした。
妊娠率は、年齢や適応により大きく異なり、年齢の若い人程、成功しやすく、年齢が上がって特に40才を超えると妊娠率は10%以下で、半数は流産してしまい、実際に生まれるところまでいった生産率(生きて産まれた赤ちゃんの割合)は低くなります。


■先天異常について

現在までに体外受精・胚移植など高度生殖医療によって生まれた子供たちは、約10万人を超えておりますが、今までの報告の範囲では、染色体異常の発生率、先天異常の発生率は自然妊娠の異常児の発生率3%と比べ差がないといわれています。
2014年の集計では、体外受精により出生した児の奇形発生率は2.2%で、特別偏った胎児異常はありませんでした。顕微授精により出生した児の奇形発生率は2.4%と報告されております。顕微授精では父親からの遺伝子欠損を受け継ぐ可能性がありますが、現在までのところ有意な奇形発生率の上昇は示されておりません。
したがって体外受精が特別偏った胎児異常発生の原因になることはないものと考えられます。


■多胎妊娠(双子、三つ子など)について

胎児数が多くなればなるほど母体の妊娠合併症の率や早産率が高くなります。高い妊娠率を得るためには複数個の分割卵を移植しますので、多胎妊娠になる率は15%-20%と自然妊娠に比べ高率でした。日本産科婦人科学会は多胎妊娠予防のため、平成20年4月に会告を出し、生殖補助医療において移植する胚は原則として1個となりました。その効果あって、2014年の全国集計では、多胎妊娠率は3.1%と低下し、多胎妊娠のほとんどが双胎で、品胎(三つ子)は7例、4胎以上の報告はありませんでした。当院でも会告に沿った胚移植を実施しており、余剰受精卵は凍結保存する事を原則としております。ただし、35歳以上の女性、または2回以上続けて妊娠不成立であった女性などでは、ご夫婦の意向も十分踏まえ、複数胚の移植も考慮しております。当院では平成20年以降での品胎妊娠はありません。 


■異所性妊娠(いわゆる子宮外妊娠)の可能性について

異所性妊娠は、2014年度の集計では約1.2%(自然妊娠では全妊娠の1%前後)でした。卵管に障害を認めるグループに多いと言われています。


■卵巣過剰刺激症候群(OHSS)について

卵巣過剰刺激症候群は、排卵誘発剤の投与により卵胞が多く発育し、採卵後の黄体や小卵胞からの活性物質により、卵巣腫大、腹水貯溜(乏尿、体重増加)、胸水貯溜(呼吸困難)、血液濃縮を起こすもので、重症化すると生命に関わることもあります。
卵巣の腫大のみの軽症の場合であれば、自宅安静とし外来で経過観察します。卵巣腫大に加え腹水、血液の濃縮がみられ、肝機能障害が出現した場合は入院治療が必要です。中等症以上では必要に応じ重症化しないように早めの入院管理といたします。
胚移植した周期に妊娠しなければ、症状は7日間でピークに達し、その後症状は消失いたします。
卵巣過剰刺激症候群は、妊娠することで悪化するため、重症化が予測される場合には、すべての受精卵を凍結保存することも検討いたします。


■感染損傷について

卵の採取は超音波で観察しながら行いますので一般に安全なものですが、まれに血管、膀胱、腸管を損傷する可能性があります。採卵に用いる針は、細い注射針ですのでまず問題はありません。


■HMG製剤によるアレルギー性反応について

HMG製剤は、筋肉注射あるいは、皮下注射で投与します。
まれに注射部位に炎症、発熱、関節痛、頭痛、全身倦怠感などのアレルギー反応が起こることがありますが、そのような場合は、より純粋なFSH製剤への切り替えを検討いたします。


■その他

排卵誘発剤を投与しても卵胞発育が不十分な場合、採卵手術をするも卵が採取できなかった場合、卵が全く受精しなかった場合などでは、本法を途中で中止する事もあります。

胚の凍結保存を受ける方へ

◆胚の凍結保存とは

採卵周期に複数の受精卵が得られた場合、余剰胚を次回以降の周期の為に、-196℃の液体窒素の中に凍結保存しておく方法です。1983年にオーストラリアで妊娠出産例が報告されて以来広く普及してきました。その後、冷凍保存法は目覚ましい技術的な改良がなされ、2000年以降日本で開発された超急速冷却ガラス化保存法の普及により、凍結胚移植の妊娠率が新鮮胚移植の妊娠率を上向っております。2014年の報告では高度生殖医療(ART)による出生児数の75%以上は凍結融解胚移植によりもたらされており、今や胚の凍結は生殖医療に必要不可欠な技術となっております。


◆胚の凍結保存の適応事例

胚の凍結保存は、
  1. 卵巣刺激および採卵の負担を減らすこと
  2. 良好胚を無駄にしないこと
  3. 移植胚数を極力抑え、多胎妊娠の頻度を下げること
  4. 着床適期に凍結・融解胚を移植して,妊娠率を向上させること
  5. 卵巣過剰刺激症候群の重症化の予防

などさまな利点が期待されます。

胚の凍結保存は次にあげる場合に可能になります。

余剰胚がある場合
1回の採卵で、多くの卵子が採れた場合、多胎妊娠防止のため移植する新鮮胚は原則1個にする為、それ以上の胚は余剰胚となり凍結保存の対象となります。もし、1回目の新鮮胚の移植で妊娠し、出産が終了して第2子を希望する場合は、再度採卵しなくても凍結保存してある胚を解凍し、第2児の妊娠が可能です。また残念ながら1回目の胚移植で妊娠に到らなかった場合でも再び採卵することなく、凍結胚の胚移植だけを受け妊娠に成功することが可能となります。
卵巣過剰刺激症候群の場合
排卵誘発剤の副作用で卵巣がはれている時です。この状態で胚移植を行い妊娠が成立すると卵巣過剰刺激症候群が重症化することがあります。重症化すると胸やお腹の中に水が多量にたまったりし、長期の入院が必要になります。
移植前の子宮内膜が不良のとき
子宮内膜ポリープがあったり、子宮内膜が薄い時です。この場合、卵が子宮内に着床するのに良好な環境ではありません。よってポリープがあればそれを切除してから卵を子宮に戻します。
■胚の凍結保存の方法・手順

(1)凍結保存  採卵した卵子はそのままの状態ではなく、体外受精させて胚とした後に凍結するのが一般的です。胚はそのまま凍結すると損傷を受ける為、損傷を受けないように特別な凍結保護液を用いて処理し、液体窒素中で-196℃のまま半永久的に保存できます。
最近はより簡単に凍結処理ができて胚のダメージが少ないVitrification法(超急速冷却ガラス化法)が普及して、より良好に胚の凍結ができるようになりました。当院でもこの方法を取り入れております。

(2)凍結胚の融解胚移植  凍結保存しておいた胚を子宮に移植する場合は、原則として自然排卵に合わせて移植を行う「自然周期法」にて実施いたします。しかし排卵が不規則で月経不順の方は、卵胞ホルモンと黄体ホルモンにて子宮内膜を調整して移植を行う「ホルモン調整法」を検討いたします。いずれの場合でも、採卵は不要なため体に対する負担が軽減されます。胚移植希望周期の月経が開始してから、超音波やホルモン検査で子宮内膜の状態卵胞の発育状態をチェックして排卵日を把握し、胚を解凍し子宮に移植します。

胚の凍結に関する留意点は、こちらをご覧ください。

胚の凍結保存に関する留意点

凍結胚移植の安全性について

①胚に対する凍結、融解の影響
残念ながら凍結保存法で、すべての胚が再び正常な状態に戻るわけではありません。2000年頃から普及してきた優れた凍結法であるガラス化法は、その後も技術改良が重ねられておりますが、凍結・融解時に胚が受けるダメージは0%ではありません。数値的には、5-10%前後の確率で胚の質(グレード)は低下すると言われております。

②出産児に対する影響
凍結胚を用いた治療で、2014年までに出生した累積新生児数は214,194人と報告されておりますが、特に偏った特別な奇形が多いとの報告はありません。


妊娠率
日本産婦人科学会では胎嚢を認めたもの全てを妊娠としています。凍結胚移植に関する2014年における全国集計では、移植当たり妊娠率33.5%、流産率26.8%、多胎率は3.2%です。凍結融解胚移植では流産率が高い傾向にありますが、出生した児の先天異常児の割合は2.2%で、自然妊娠での先天異常児率3%と比べ偏った異常は認められておりません。
多胎妊娠(双子、三つ子など)
2014年度の集計では1,608例の多胎妊娠が報告されており、98%は双胎妊娠(双子)でした。28例の品胎妊娠(三つ子)が報告されておりますが、4胎妊娠以上は認められませんでした。胎児数が多くなればなるほど母体の妊娠合併症の率や早産率が高くなります。
異所性妊娠(いわゆる子宮外妊娠)
異所性妊娠は、2014年度の集計では311例で0.6%(自然妊娠では全妊娠の1%前後)でした。
その他
卵巣過剰刺激症候群は、排卵誘発剤の投与により卵胞が多く発育し、採卵後の黄体や小卵胞からの活性物質により、卵巣腫大、腹水貯溜(乏尿、体重増加)、胸水貯溜(呼吸困難)、血液濃縮を起こすもので、重症化すると生命に関わることもあります。重症化を防止するためにすべての受精卵を凍結保存することもあります。
すなはち、新鮮胚を移植をせずに全て凍結保存し、後日、自然周期あるいはホルモン補充周期で胚移植を行うものです。その際強力な排卵誘発を必要としないので、重症卵巣過剰刺激症候群になることはありません。