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不妊症について検査や治療方法、治療に掛かる費用など詳しくご説明します。
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体外受精・胚移植に関する留意点・副作用

■妊娠率

日本産婦人科学会では胎嚢を認めたものを妊娠としています。2014年における全国集計では、妊娠率は採卵あたり11.6%、流産率は妊娠あたり26.3%、多胎率は出産あたり3.1%でした。
妊娠率は、年齢や適応により大きく異なり、年齢の若い人程、成功しやすく、年齢が上がって特に40才を超えると妊娠率は10%以下で、半数は流産してしまい、実際に生まれるところまでいった生産率(生きて産まれた赤ちゃんの割合)は低くなります。


■先天異常について

現在までに体外受精・胚移植など高度生殖医療によって生まれた子供たちは、約10万人を超えておりますが、今までの報告の範囲では、染色体異常の発生率、先天異常の発生率は自然妊娠の異常児の発生率3%と比べ差がないといわれています。
2014年の集計では、体外受精により出生した児の奇形発生率は2.2%で、特別偏った胎児異常はありませんでした。顕微授精により出生した児の奇形発生率は2.4%と報告されております。顕微授精では父親からの遺伝子欠損を受け継ぐ可能性がありますが、現在までのところ有意な奇形発生率の上昇は示されておりません。
したがって体外受精が特別偏った胎児異常発生の原因になることはないものと考えられます。


■多胎妊娠(双子、三つ子など)について

胎児数が多くなればなるほど母体の妊娠合併症の率や早産率が高くなります。高い妊娠率を得るためには複数個の分割卵を移植しますので、多胎妊娠になる率は15%-20%と自然妊娠に比べ高率でした。日本産科婦人科学会は多胎妊娠予防のため、平成20年4月に会告を出し、生殖補助医療において移植する胚は原則として1個となりました。その効果あって、2014年の全国集計では、多胎妊娠率は3.1%と低下し、多胎妊娠のほとんどが双胎で、品胎(三つ子)は7例、4胎以上の報告はありませんでした。当院でも会告に沿った胚移植を実施しており、余剰受精卵は凍結保存する事を原則としております。ただし、35歳以上の女性、または2回以上続けて妊娠不成立であった女性などでは、ご夫婦の意向も十分踏まえ、複数胚の移植も考慮しております。当院では平成20年以降での品胎妊娠はありません。 


■異所性妊娠(いわゆる子宮外妊娠)の可能性について

異所性妊娠は、2014年度の集計では約1.2%(自然妊娠では全妊娠の1%前後)でした。卵管に障害を認めるグループに多いと言われています。


■卵巣過剰刺激症候群(OHSS)について

卵巣過剰刺激症候群は、排卵誘発剤の投与により卵胞が多く発育し、採卵後の黄体や小卵胞からの活性物質により、卵巣腫大、腹水貯溜(乏尿、体重増加)、胸水貯溜(呼吸困難)、血液濃縮を起こすもので、重症化すると生命に関わることもあります。
卵巣の腫大のみの軽症の場合であれば、自宅安静とし外来で経過観察します。卵巣腫大に加え腹水、血液の濃縮がみられ、肝機能障害が出現した場合は入院治療が必要です。中等症以上では必要に応じ重症化しないように早めの入院管理といたします。
胚移植した周期に妊娠しなければ、症状は7日間でピークに達し、その後症状は消失いたします。
卵巣過剰刺激症候群は、妊娠することで悪化するため、重症化が予測される場合には、すべての受精卵を凍結保存することも検討いたします。


■感染損傷について

卵の採取は超音波で観察しながら行いますので一般に安全なものですが、まれに血管、膀胱、腸管を損傷する可能性があります。採卵に用いる針は、細い注射針ですのでまず問題はありません。


■HMG製剤によるアレルギー性反応について

HMG製剤は、筋肉注射あるいは、皮下注射で投与します。
まれに注射部位に炎症、発熱、関節痛、頭痛、全身倦怠感などのアレルギー反応が起こることがありますが、そのような場合は、より純粋なFSH製剤への切り替えを検討いたします。


■その他

排卵誘発剤を投与しても卵胞発育が不十分な場合、採卵手術をするも卵が採取できなかった場合、卵が全く受精しなかった場合などでは、本法を途中で中止する事もあります。